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洗濯家 中村祐一さん
2020.02.05
くらしのレシピ
Sentaku could change your life.

洗濯家 中村祐一さん

「洗濯で、誰かの人生やくらしを変えていく 」家庭洗濯の在り方をデザインする洗濯家のルーツとは?

洗濯は、人生のルールも教えてくれる

伊那市駅から車で分。芝生と空に挟まれるようにして建っている「センタクアトリエ」のブルーのドアを開けると、現れたのは開放感のあるランドリールーム。この家の家主、洗濯家の中村祐一さんのくらしは、とにかく洗濯が中心です。きちんとアイロンがかけられた真っ白なシャツとジーンズに身を包み、背筋をピンと伸ばしながら中村さんは言います。

「洗濯には、人生の大事なことを教わってばかりです」

伊那市のクリーニング店に生まれた中村さん。高校3年生での野球部引退を機に、家業である洗濯の世界へと足を踏み入れます。ご両親の「外を見て来なさい」という意向もあり、まずは東京のクリーニング店に就職した中村さん。「東京で扱える服は種類が多く、ブランドものも多かった。やり始めたら面白くて、その時から洗濯にはまりました」と話します。

3年半東京で勤めた中村さんはその後実家のクリーニング店に戻り、お店の宣伝のためにと自分でホームページを作り、洗濯に関するブログを書き始めます。中村さんのアドバイスは徐々に評判となり、取材の依頼が入るようになりました。「それまで、全国的にみて『洗濯を教えてくれる人』っていなかったんですよね。ブログやサイトをやっていると、質問のメールなどが多いことに気が付くんです。洗濯に困っている人って、実は大勢いたんですよ」

心地よいリビング1
心地よいリビング1

 

洗濯に、人生に共通していえる原理原則みたいなものがある。

「一口に洗うといっても、汚れや素材に合わせて調整する要素がたくさんある」と中村さんは言い、「今の洗濯は、インスタントな洗濯が多いと感じます」と続けます。楽に・簡単にという方面に進化して来た洗濯。その知恵と努力は目を見張るものがありますが、それは料理でいえば、「万人がOKとなる『鍋のもと』を使っている感じ」だと中村さんは言います。

「そういうものは、辛過ぎる、しょっぱすぎると思う人も出てきますよね。僕の洗濯の提案は、鍋でいえば出汁からとるような作業です。服に合わせると同時に、人に合わせる洗濯を提案したいんです」

 
現在はクリーニング事業と業務を分け、洗濯に関するアドバイスやコンサルティングに特化して全国的に活躍する中村さん。自らを「洗濯家」と名乗り、洗濯を軸としたくらしの提案を行なっています。

「僕の中で普遍的な部分が一個あって、その表現方法が僕の場合『洗濯』なだけなんです。ひとつ大事なことさえ押さえていれば、他に当てはめても全部同じだと思いませんか」

それは具体的にどういうことかという問いに、中村さんは一層背筋を伸ばして答えます。
「たとえば、繊維ってそれぞれ性格があるんですよ。それを全部一緒にまとめて洗ってしまうと、弱いところに負担がかかっちゃう。僕たちの世界でも、同じやり方をした時にそぐわない人がいると、その人が悪いとなりますよね。でもそれは個性なので、合わせた洗い方をしてあげなきゃいけないんですよ」

「洗濯に、人生に共通していえる原理原則みたいなものがある。僕自身いまだにそれを、洗濯を通してみつけていっているんです」。
中村さんが行う洗濯の提案は、毎日の洗濯の時間と、そしてきっと私たちの日々そのものを心地よくしてくれるものなのです。


住居兼仕事場である「Sentaku Atelier(センタクアトリエ)」。家庭洗濯の在り方をデザインし直すことを使命とし、中村さんはここで、選択に期待と愛情を注いでいます。

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